ところで、「大地を守る会」の藤田さんは、「100万人のキャンドルナイト」を呼びかけ始めた5人のうちの1人でもあります。 「当時はブッシュ大統領が当選して、1ヶ月に1基ずつ原子力発電所を建設するというブッシュの政策に反対してカナダで「自主停電運動」が行われていました。それを見た辻信一さんが自分で運営しているカフェスローで暗闇カフェっていうのを始めてたんです。面白いなと思いました。ぼくも、提案型の運動がしたいなと思っていた時期でしたから、暗闇カフェを成功させた辻さんにお声がけされて、大地を守る会のメンバーを集めて、10月の反原子力の日に決め、「キャンドルプロジェクト」をやってみたんです。」
藤田さんは、あったかい目をしていて、笑うと目尻が下がってすごく優しい笑顔をする方です。姿勢を伸ばして、丁寧に言葉を選んで、織物を紡ぐように人生のストーリーを伝えてくれます。聴き手のわたしの頭の中には、長く深いドキュメンタリー映画がずっと流れていました。その映像がなんとも心地良く魅力的なのは、藤田さんの人生がひとつに貫かれていて、その道を真っすぐ、真っすぐ走ってきたからではないでしょうか。すっかり感心してうなずくわたしに、そんなにいいもんじゃないんだよ、とでも言うかのように、藤田さんは一気に言葉を吐き出しました。 「今までを振り返って、最も大きな間違いは、自分が純粋になろうとしたことなんじゃないかと最近思うんです。自分は純粋で何も間違ってないと信じ込むことは、多様性を認めようとしないこと。グローバリズムと同じで、価値観を押しつけていることになると思うんです。その点で、キャンドルナイトも大地を守る会も、小さな自己決定をそれぞれの生活の中でやってもらえれば、それでいい。
藤田さんがまだ10代のころ、この扉を開いたらその先にはきっと、未来が待っている。その頃から数十年の時を経て、今。本当は藤田さんの心の中にあった檻は、キャンドルナイトの灯りで自然と壊され、彼の目に望んでいる未来が少しずつ映り始めていることでしょう。 目に見える壁にこだわりすぎたり、大きな力を倒す方ばかり見ていると、結局何も変わりません。案外、足下に転がっている石ころを見て感じることのほうが大切だったりします。何より、日常の範囲内というのは、無理してない感じが長い間続けられそうで、気が楽です。本当に美味しい野菜を心をこめて丁寧に料理をし、大切な人と一緒に身体で味わいながら、ろうそくの灯りをともせば、誰の心にもある堅苦しい檻は降ろされ、そこで初めて望んでいる未来が自分の目に映るのかもしれません。
今回の暦「小満・次候」について 前回のお話に登場した紅花。小満の次候(5/26〜5/30)は「紅花栄」(こうかさかう)です。紅花は平安時代初期から日本に入ってきて、高貴な色の一つとして珍重されてきました。紅花は実はエジプト原産のもので、シルクロードを逆にたどってきたものです。元々日本にはなかった色なのですね。 「結火」では毎回、メールマガジンの配信と連動して配信された日の暦のケータイ用待ち受け画面をお送りします。その季節を代表する写真の上に、その日の旧暦での日付(2007年5月28日は、旧暦では4月12日になります)
そして、その日の月齢(2007年5月28日は、月齢11.6、もうすぐ満月ですね)が表されています。 ひじりのこよみ: Powered by wacocolo